なぜ日本語は難しいと言われるのか。

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英語話者にとって、中国語、ロシア語、アラビア語は難しい言語だとよく言 われるのではないでしょうか。日本語もそれらに並んで難しいとよく言われま す。今回は、なぜ日本語が、非日本語話者、英語話者にとって難しいとされるのかについて述べようと思います。

では、英語と日本語の大きな違いとは何でしょうか。ここで3つの大きな違 いを紹介しようと思います。

その一、3種類の文字(ひらがな、カタカナ、漢字)を使う。英語ではアル ファベットという一種類の文字で構成されているのに対し、日本語にはひらが な、カタカナ、漢字という3種類の文字があります。例えば、「りんご」とい う単語書き表すとき、英語では“apple”としか書き表せないですが、日本語 で 「りんご」、「リンゴ」、「林檎」の3種類で書き表すことができ、すべ て意味は同じになります。文字の種類が2種類以上あるという概念は外国人に はなく、それらをどのように使い分けるのかが外国人にとって難しいようです。また、日本語の文字の種類が英語と比べ多いのも難しく感じる理由の一つで す。ひらがな、カタカナはそれぞれ50種類あり、漢字については、日本の学 生は小学校を卒業するまでに1006種類の漢字を学びます。

その二、1つの漢字に2つ以上読み方があることがある。英語において、発 音の種類はいくつかあるが、“A”という文字は「エー」であり、他の呼ばれ 方はありません。一方、多くの日本語の漢字は2つ以上の読み方があります。例えば、「日」という漢字。一般的に使われる読み方として、「ニチ」、「ジ ツ」、「ひ」、「か」等があります。つまりこの「日」という漢字一字には少 なくとも4種類の読み方があることになります。「3月1日は日曜日で祝日、晴れの日でした。」この文章に5つの「日」という漢字が使われていますが、どれも読み方が異なります。中国語でも漢字は使われますが、このように1つ の漢字が複数の読み方をするのは日本語の漢字のみです。したがって、漢字の 数は中国語の方が多いですが、日本語の漢字は読み方がややこしいという理由 で中国語話者からも日本語は難しいと言われることがあります。

その三、使われる言葉が、地域、年齢・性別、場合によって大きく変わる。地域による言葉の違いについて、日本語には方言があります。これはイギリス 英語とアメリカ英語の違いに似ているところがあるかもしれないですが、単語 レベルの違いだけでなく文法、イントネーション、言い方までも違ってきます。したがって一般的に外国人が習う日本語は標準語といわれ、日常的に使われ る日本語と違うかもしれません。年齢・性別による言葉の違いについて、人称 代名詞が大きく異なることがあります。英語の一人称単数の主格の人称代名詞 は“I”しかないですが、日本語には「私」、「僕」、「あたし」、「俺」、「わし」、「わい」等、何種類も存在します。一人称だけでなく、二人称 でも「あなた」、「お前」、「君」等、複数あります。これも英語に無い概念 の1つです。場合による言葉の違いについて、日本語には敬語があります。敬 語は年上の人と話すときや、公的な場面で用いられます。敬語を用いると主に 動詞とその活用が日常的な言い方と異なります。日本において敬語は重要な文 化であり、正しい敬語を使わないと相手に失礼な態度をとってしまうことにな ることがあります。態度や行動の他に、言語のレベルで相手に敬意を表すこと ができるのは日本語の特徴のように思います。

これらの他にも日本語と英語の違いは数多く存在します。英語と日本語にこ れらの違いがある理由の1つは、それぞれの言語の起源が異なるからです。英 語の起源はインド・ヨーロッパ祖語であり、例えば、英語と起源が同じである スペイン語は文法や単語において英語と似ている点が数多く存在します。一方 、日本語の起源はインド・ヨーロッパ祖語でないため異なる点が数多く存在し ます。

非日本語話者にとって日本語は母国語とかけ離れていると思うかもしれませ ん。今回は日本語と英語の違いについて取り上げてみましたが、自分の母国語 と日本語の共通点を見つけてみるのも面白いかもしれません。韓国語と日本語。中国語と日本語。スペイン語と日本語。醤油をつけてお寿司を箸で食べるつ いでに日本語に興味をもってみるのはいかがでしょうか?

BY YUYA KAWAKAMI

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